2023/05/10

 大学院生というものになって早1カ月が経つという事実をいまだに呑み込めないでいるのは、自分の研究というものがちっとも進んでいないからだ。講義やゼミに出るのは楽しいし、先生に読めと言われたものは喜んで読むけれど、こと自分の研究となると不安で仕方がなく、ほかならぬ私が国のお金を使ってその作家について、ないしは国や時代について調べることに何の社会的意義があるんだろうということばかり考える。知り合った院生の研究の話を聞いては馬鹿みたいに「あ~いいですねえ」とか「かっこいいですねえ」とか言って自分の研究以外はみんなすごくかっこうよくて有意義に見えている気持ちを丸出しにしている自分に気がつくとき、私は自分がたまらなくみじめな人間に思える。
 というところまで数日前に下書きを書いてそのままにしていた。状況はたいして変わっていなくて、体調は悪い方に変わった。考えるのはいつも自分のできていないことと会えない猫のこととお酒のこととおもうようにならない人間関係のことで、何かの助けにならないかと本をやみくもに注文したり本棚から引っ張り出したりしてはそのどれともわかり合えない自分に絶望する。このブログはこういうことを言う場所にしたくなかったのだけど、今は何もおもしろいことが言えない(これまではおもしろかったのかと言われたら困ってしまうけれど)。誰かがシャンタル・アケルマン相対性理論岡崎京子のどれかに触れて私とお話ししてくれると、ちょっとごまかされた気持ちになれると思う。